京都大、非常勤職員100人を22年度再契約せず その2

先日、1月23日のエントリでは、

3年以上前に決まっていたことについて何を今更記事にしているんだろう。

ということを書きました。

記事本文は以下のURLを参照のこと。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090123-00000550-san-soci


世間の反応はどうなのかなーと思って試しにはてなブックマークを見てみるとこれまた微妙な反応ですね。
相変わらず経営難の問題とごっちゃにしている人もいるようですし。


この記事で話題にされている人が再契約できないのは平成22年4月以降のこと。おそらく来年度の契約をする際に「今回(21年度)で契約は最後です」という旨通達があったんでしょう。それで契約期間の上限5年に不満を持っている誰かが新聞社にタレコミを入れて、今のタイミングでの記事、という流れでしょう。
実際に契約が終了するのは1年以上先の話です。その頃に景気がどうなっているかなんて全くもって予想できません。経営難やら予算削減やらなんて話とは全く関係のない話なのです。おそらくは同じポストに後任の非常勤を採用するでしょうから、人員削減をするわけでもありませんし(記事の中では常勤の削減には触れているものの、一言も「非常勤について人員削減を行う」とは書いてないんですよね)。


そもそもこの雇用契約期間の上限5年、というものが決められた背景には労働基準法の定めがあります。以下抜粋。

(契約期間等)
第14条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
1.専門的な知識、技術又は経験(以下この号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
2.満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

労働基準法


労働基準法では、有期雇用契約について基本3年、最長でも5年を超える期間について労働契約をしてはいけない、ということになっています。
「ずっと非常勤で待遇悪いまま仕事をさせないで常勤に切り替えるよう努力しなさい!」ということなのですが、結局この法律に対応する形で、法人化後各大学において雇用契約期間の上限を定めることとなりました。
労働基準法なんて昔からあるし何で今更、とお思いの方に補足しておくと、法人化前の国立大学は国の機関なので労働基準法の適用外だったんですね。)
これは雇用される時点、つまり3年以上も前には既に広く公開されているはずです。本人もそこは了解した上で雇用されているはず。


では全く問題がないかといえば実はそうではなく。
問題は現在の非常勤職員の在り方です。

正規雇用、パートというものの考え方が今ではすっかり変わってしまい、それだけで生計を立てることを目的とされている方も非常に多くなりました。
ですが本来非正規雇用のとるべき姿というのは、「学生や主婦(主夫)が本業の傍ら生活資金等の足しにするために仕事する」というものだと私は思っています。
仕事内容も定型的な、仕事自体の難度はさほどではないが量だけやたら多いようなルーチンワークに携わってもらうのが基本だと思います。


現状の問題点、それは、
1.非常勤への負担が増えていて、常勤に近づいている(ように見える)職場の実態
2.非常勤職員の常勤化の理想と現実
3.非常勤として細く長く働きたい、という希望をかなえることができない労働基準法
なんてものがありまして。


まず一つ目として非常勤職員への負担増。
単に常勤職員の仕事も増えたから非常勤職員も仕事増えただけ、なんてケースも多いようですが傍から見たら「こんだけ仕事一杯やってるんだから常勤にしてくれ!」と思うようです。かといって非常勤だからと仕事振らないのも問題でしょうし、今後色々検討の余地がある話だと思います。

実際仕事の出来る人は常勤登用をするのですがここで問題がひとつ。実際になってみると「こんなはずじゃなかった」と思うそうで、結構離職してしまうようです。目に見えないところで色々と背負わされますし、異動もあります。時には全く未経験の部署に配属されることもあるのが人事というものですので、仕事内容が決まっていた非常勤の頃とはいささか性質が異なるのです。このギャップを埋めるためにはどうすればいいか、というのも今後の課題のひとつです。

そして第三の問題が「パートのオバチャン」になることができない点。先ほど申し上げた通り、基本3年、最長5年以上の有期雇用契約はダメ、ってことらしいです。まあ非常勤で殆ど昇給もありませんし、それで延々と働かせ続けるのは問題だ、と考えての法律なのでしょうから仕方ない話です。
とはいえそれでは「学生や主婦(主夫)が本業の傍ら生活資金等の足しにするために仕事する」という働き方まで制限してしまうことになります。個人的にはこれが一番の問題で、何とかしたいものだと常々考えてはいるのですがこれがなかなか難しく。


いい加減企業も、というか社会全体として非正規雇用を考え直す時期に来ているのではないでしょうかね?


まあ結論からいえばいい加減人材派遣会社ってなんとかしたほうがいいですよ、ということです(どうしてそうなる)。