埼玉大学推理小説研究会 推理劇第九弾 「誰彼はくれない」

友人3名連れて見に行きました。誰彼100円。

というわけで遅くなりましたが感想等をば。
今回の脚本って何か違和感があったように思えますがそれはきっと不可能犯罪でなかったから。というのも埼大ミス研の推理劇の多くは不可能犯罪(理屈として誰も殺すことができない、起こすことができるはずがない)だったんですが今回は言わば可能犯罪、つまりトリックを使えば誰でも殺せてしまう、というものになっていたのですよ。全員が可能な中で誰が最も犯人として適しているかを当てさせる、そんな印象。
密室ではあるのでもしかしたら不可能犯罪として書いたのかもしれませんが、それにしても全員アリバイは無く、犯行不可能である理由について(結局解決編になっても)触れていないので「誰が犯人として適しているでしょう」的なセンター国語論法になってしまっていた気はします。これがもし「誰もアリバイ工作をしていない=意図されなかった犯行」ということを表現しているのでしたらそれはそれでアリかもしれませんが。
犯人特定の一つのファクターとして存在した香水の件は……ちょっと卑怯だったかなぁ。上着に付着していたなら染みがあるだけじゃなくて少なからず匂いもなくてはならないわけですし。男が香水付けてりゃそりゃおかしいと思うでしょ。ましてや昔からの付き合いなら尚更。そうなれば例えば設定として犯人は男ながらに香水が好きでよく使うが普段は柑橘系の香水はあまり好まない、なんてのをうまく劇中で差し込んでやるとか一工夫あっても良かったかな(とはいえそうすると気合いの入ったミスリードが必要になってきますが)。
役者関連でのツッコミどころは、そりゃーまぁ声ですよ。必要な場合以外は客席を向いて台詞吐く、は基本です。建物の間取りを変えるなどして対応できる部分もあったはず。あとトチりとかも普段と比べて多かったかも。一番いい場面でトチってしまうのは痛い。リハを繰り返すうちにキャラが熟成していくという効果もあります(「Shake!」のマスターとかはまさにその典型でした)ので是非とも準備は完璧に。
舞台的な話としては部屋が狭かったのは仕方がないとしても音を使いましょう音を。音を使うことによる効果は場面がよりわかりやすくなったりといった演出上の旨味だけではなく、役者が音に負けない大きな声で演技をしなければならなくなる結果としての演技力の向上に繋がり、音響担当という第三者的な立場の人間からの意見が得られるといった副次的効果もあります(多分)。

ちなみに私はハズしました。よっしゃ!

ん? 盛大にハズした奴が何でかいこと言ってるんだって? ……ごもっとも。