とある機関の大学職員 第4話 国立大学法人等職員の選考プロセス その1

国立大学法人等の職員を目指すには、大きく分けると次の2つのルートがあります。

A:国立大学法人等職員統一採用試験によって採用される
B:機関独自の採用試験によって採用される

Bの機関独自の採用試験には、次のようなものがあります。

東京大学福井大学などが実施している新卒者のみを対象とした採用試験
・一部機関で実施している非常勤職員対象の常勤登用試験
・特定の技術や経験を持った職員が必要になった際の採用試験

しかし募集人数はそれほど多くなく、大部分はAの国立大学法人等職員統一採用試験による採用です。そこで今回は国立大学法人等職員統一採用試験による採用プロセスについて解説します。なお、長いので以降「統一試験」と省略します。


大まかな流れは以下の通りとなっています。

 1.試験案内を入手(3月末までに)
 2.受験申込書を郵送(4月1日〜10日頃)
 3.受験票を受けとる(試験のちょっと前ぐらい)
 4.【第一次試験(筆記)】(5月の中旬頃)
 5.第一次試験合格発表(6月下旬)
 6.【第二次試験(面接等)】(7月から)
 7.内定(内々定)もしくは採用

ではこれから順に細かく見ていきましょう。長くなるので今回は出願から受験票の受け取りまでをご紹介します。


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1.試験案内を入手(3月末までに)
何はともあれ申し込まないことには始まりません。では肝心の受験申込書はどこにあるか、というと、試験案内の冊子の中に入っています。よって何らかの手段で試験案内を入手することになります。


ただここで1点注意事項があります。それは、「統一試験は全国を7地区に分けて実施していて、自分の採用されたい地区で受験しなければならない」ということ。例えば、もし自分が「東京大学」に採用されたい、というのであれば、「関東甲信越地区」で受験しなければなりません。詳しくは後述しますが、地区内ならば複数機関を併願することが可能であるものの、地区をまたいだ併願はできません。


関東甲信越地区」で受験した場合、基本的にどんなに点数が良くとも「九州大学」には採用されないのです。そして、地区ごとに試験案内や受験申込書が違います。よって、このタイミングで自分が受験する地区(=採用されたい地区)を決める必要があるのです。


受験する地区が決まったら試験案内を入手します。入手方法は次のようなパターンが代表的かと思います。

A:ホームページから入手
B:国立大学法人等で入手
C:一部のハローワーク等で入手
D:説明会で入手
E:大学の就職課や専門学校、予備校で入手
F:採用試験事務室へ請求

一番簡単なのは、Aの「ホームページから入手」です。平成22年度の試験では、九州地区以外では採用試験実施委員会のホームページでpdf形式の試験案内が公開されます。パソコンでインターネットができる環境と、pdfが印刷できる環境さえあれば、自宅にいながらにして入手することが可能です。九州地区の試験案内も将来的には公開されることを期待したいですね。


もし自分が国立大学に通っている学生さんであったり、近所に国立大学があるのなら、Bの「国立大学法人等で入手」という方法があります。大学によって配布している場所がキャンパスが複数あるうちの1箇所のみ、などという可能性があります。また、キャンパスがひとつであっても大学の敷地はかなり広い場合が多く、設置場所が分からず構内で迷子になる可能性も。「行ってみたら在庫がなかった!」という事態もありえます。配布場所や在庫状況を事前に確認してから取りに行くのがオススメです。


あまりオススメではないですが、Cの「一部のハローワーク等で入手」という手段もあります。あくまで「一部」であってそもそも最初から置いていない場合も多いので、あまりアテにしないが吉かと思います。


Dの「説明会で入手」とは、採用説明会の会場で採用試験事務室の職員から入手する方法です。採用試験事務室が定期的に実施している採用試験説明会の会場で、試験案内が配布される場合があります。


もし自分が公務員系の専門学校や予備校に通っているのであれば、学校側が一括して試験案内を取り寄せてくれるかと思います。一部の私立大学などでも、毎年多くの学生が採用試験を受験している場合、就職課である程度まとまった冊数を取り寄せているケースがあるようです。状況によってはEの「大学の就職課や専門学校、予備校で入手」という方法もあります。


学校も卒業してしまったし近くに大学もない、家のプリンターは壊れて使えない。そんな状況ならFの「採用試験事務室へ請求」という方法があります。切手を貼った返信用封筒を添えて請求すれば後日返送されます。ただしAからEまでの方法とは異なり郵送の時間がかかるため、入手できるまでに時間がかかることも考えられます。郵便事故等のトラブルが起きないとも限りませんので、請求するならお早めに。


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2.受験申込書を郵送(4月1日〜)
受験申込書に必要事項を記入して郵送します。


試験案内に詳細な記入方法や記入例が提示されていますのでよく読んで間違いのないように記入しましょう。気をつけなければならない点を以下に挙げます。

A:受験申込書はとにかく丁寧に書くこと
B:郵送前に記入内容をよく確認すること
C:忘れずに受験申込書に切手を貼ること
D:ポストには入れないこと

Aの「受験申込書はとにかく丁寧に書くこと」。受験申込書も立派な提出書類。就職活動の提出書類は丁寧に作成する。これは当然ですよね。


Bの「郵送前に記入内容をよく確認すること」。書類不備で落とされた、という話はあまり聞きませんが、可能性としてありえない話ではないと思います。郵送前に今一度記入漏れなど無いかチェックをしておきましょう。


Cの「忘れずに受験申込書に切手を貼ること」。受験申込書を郵送するための料金とは別に、受験申込書にも所定金額の切手を貼る必要があります。受験申込書の所定の位置に切手を貼っていないと受験票が送られてこないかも。


そして最も注意しなければならないのが、Dの「ポストには入れないこと」。
基本的に、ポストに入れるということはすなわち普通郵便で発送するということです。普通郵便は送った証拠が残りません。証拠が残らないということは、こんなことが想定されます。


「もし郵送の途中で紛失されてしまったとしたら……?」
「料金不足で届かなかったら……?」
「既にその日の集荷が終わっていて、受付期間を過ぎた消印になってしまったら……?」


「自分は確かに送ったはずだ!」といくら主張しても受験は認められないでしょう。簡易書留や特定記録にしておけば、とりあえず自分が発送した証拠が残ります。また、窓口に直接持っていき郵送料を現金で支払えば、料金不足で届かない心配もありません。必ず窓口に直接持っていき、その日の消印を押してもらいましょう。そして控えは忘れずに持ち帰り、大切に保管しておきましょう。


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3.受験票を受けとる(試験のちょっと前ぐらい)
無事に受験申込書が受理されると、後日受験票が送られてきます。軽微な記入ミスの場合は、記入内容の確認の電話が来ることもあるようです。


受験申込が受理されていたとしても、諸々の事情で受験申込書が届かないケースがあります。ありがちなケースとしては、配達ミスや住所の記入ミスなどが考えられます。


なお、万が一受験票が届かなかった場合は再交付の手続きが可能です。再交付が間に合わない場合は、当日試験場で再交付の手続きをすることもできるようです。いずれにせよ受験票が届かなかった場合は採用試験事務室へ電話で問い合わせましょう。


ちなみにこの受験票、どうやら地区によって様式が異なるようです。受験票のみが送られてくる地区もあれば、色々な案内文書も一緒に送られてくる地区もあるようです。だから地区によって必要な切手の料金が違うんですね。


受験票が届いたら事前に受験票(というか写真票)に写真を貼っておかなければなりませんのでお忘れなく。また、受験番号は合格発表まで使いますので、忘れないように手帳などに書き写しておきましょう。


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次回は第一次試験以降の流れについてご紹介します。