とある機関の大学職員 第3話 「国立大学法人等」の正体を探る

このページをご覧になっている方の中には「国立大学の職員になりたい!」という方もいらっしゃるものと思います。そこでここから少し国立大学の職員にスポットをあててみてみたいと思います。


国立大学は平成16年4月に国立大学法人になりました。それ以前であれば「国立大学の職員=公務員」ということで、公務員試験で採用を行っていました。法人化以降は新たに「国立大学法人等職員統一採用試験」という試験を実施して、採用を行っています。ちなみに大部分の職員はこの採用試験制度によって採用されているようですが、一部例外もある模様。例外部分については触れだすと長いので後ほど少しだけ触れたいと思います。いづれにせよ国立大学の職員は公務員ではありません。


余談ですが一般的にいわれている「みなし公務員」という言葉、さも当たり前に用いられていたりもしますがこれは正式な言葉ではありません。公務員に対して適用される規則の一部が「公務員であるものとみなして」適用されることからこのような呼び方が一般化していますが、決して「みなし公務員」という身分が存在する訳ではありません。国立大学の職員はあくまで法人職員です。


国立大学が法人になったことはお分かりいただけたかと思います。では先ほどから話に出てくる「国立大学法人等」、この「等」とは何でしょう。


実は、国立大学以外にも法人化された機関がいくつかあります。


例えば、「高専」と呼ばれる高等専門学校。中学校を卒業した生徒が入学する、高校の3年間と短期大学の2年間を合わせたような学校です。毎年NHKで放送されているロボットコンテストで活躍している高専の生徒たちを見たことがある人も多いのでは。この「国立高等専門学校」も「独立行政法人国立高等専門学校機構」として法人化されました。


例えば、「高エネルギー加速器研究機構」。文系な方にはあまり馴染みのない機関かもしれません。平成20年にノーベル物理学賞を受賞した小林誠教授がかれこれ20年以上在籍し、研究をしていた機関です。超大型の加速器で有名です。このような「大学共同利用機関法人」が4つ、法人化されました。


例えば、上野公園内にある「国立科学博物館」。勿論大学ではなく博物館です。このような一部文部科学省関係機関も法人化されました。


国立大学法人等職員統一採用試験」という制度上では、これら法人化された機関がまとめて「国立大学法人等」と呼ばれています。


なお、研究所や博物館の職員といっても、「国立大学法人等職員統一採用試験」で採用される職員は研究員や学芸員ではありませんので注意が必要です。それらの採用は別途論文審査等でおこなわれています。ただ、学芸員の資格が無くても博物館等で働ける道、という考え方もできます。


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