「個人的な見解ですが」

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061027i102.htm?from=main1
群馬大学医学部を受験し、点数は高かったものの年齢を理由に落とされた主婦が敗訴とのこと。
この件の裁判官の判断では「個人的な見解ですが」と前置きすれば何でも言っていいようなので
「個人的な見解ですが」私も色々と思ったことなどを書いてみようかと思います。


まず問題となるのが群馬大学医学部のサイト内にあるこの記述。

【年齢制限】
出願するにあたり年齢制限はありますか?
⇒ありません。いずれの入試においても年齢はもちろん、性別、出身地等の区別なく、全く同じ条件のもとで選抜を行っています。

全く同じ条件のもとで選抜を行った結果、年齢の高かった主婦は
ペーパーテストの成績が良かったが不合格となった、というと微妙に矛盾が感じられます。


続いて元記事内のこの記述。

同大が「医師には知力・体力・気力が必要」などと説明していたことについては、合理性があるとした。

確かに医師には知力・体力・気力が必要そうですよね。なるほど合理性がありそうです。
とすればペーパーテストで「合格者平均より10点以上高かった」とされる点数を取った彼女よりも
「知力」が劣る学生は駄目ってことになりますかね。
高齢だからといって「体力」「気力」が無いという根拠はどこにも無いかと思います。
これって体力や気力を測るために運動能力テストでもやったんでしょうかね?


少なからず上記2点を考えると大学側として十分な説明責任を果たせていないと思います。
公式に年齢制限はしないと言ってしまっている以上は。
何より問題なのはこういう*1前例ができてしまったことでしょうか。
今後こういうケースが増えていかないことを祈るばかりです。


個人的には50過ぎ60過ぎの方が大学に入学して勉強をする、というのは素晴らしいことだと思います。
実際に昭和10年代・20年代生まれの大学生って結構な数存在しています。


若い私には言い切れるものでもありませんがその年代の方がまだ若かりし頃は
まだ時代が時代ですから大学など行きたくても行けない、とか
行っても勉強どころじゃない、なんて方もいらっしゃったかと思います。
そんな方が長年の夢を叶えるべく大学に入学し、4年間の勉強を通して何かを会得し、
これまで蓄えてきた豊富な人生経験とともに更に社会の役に立てる。
まさに「生涯現役」という考え方も平均寿命も延びた昨今ですから当然アリでしょう。


ただ長期的に人材育成をしていこうという企業にそういう人材は向かないかもしれません。
よって非営利団体とかボランティア団体とかがベターかな、とも考えることはあります。


そもそも今の企業は本気で人材育成なんて考えてもいないんだろうと考えていたりもしますが
その話はまたいつか機会があれば。


追記として。
法律の専門家ではないので判決のことはよくわかりませんがこの判決ってどうなんでしょうね。
是非その筋に詳しい方がいらっしゃいましたら教えていただければと思います。

更に追記として。
ちょっと法律関係詳しい方に聞いてみました。色々聞きましたが端的にまとめると
「大学の決定に司法が口を出すのはよっぽどのことが無いと難しい」そうで。
なるほどそれはまあ納得。
確かに納得……なんですが落ちた原因が素人目には年齢を理由にしているように見えてしまうのは
問題じゃないんでしょうかね。
判決云々は別としてももう少し納得のいく説明はできなかったものかと思います。


んんー、これは予想以上に難しい話だ。
人道的には「入れてあげればいいじゃなーい」で済む話なんですけどね。

*1:十分な説明責任を果たさずに済ましてしまう、という